エアリスが死なない可能性に震えている
FF7をプレイしている。本当はFF7Rをプレイしたいのだけれど、FF7Rは原作を知っていたほうがよっぽど楽しめるという情報を得たので、予習としてFF7をプレイしている。
そもそも、FF7の事前知識が「セフィロスの曲」「エアリスは死ぬ」くらいしかなかったので、非常に新鮮な気持ちでゲームをプレイすることができている。はずであったのが、プレイを始めて10時間強、いま私は大変な不安と漠然とした恐怖に襲われている。
そう、「エアリスがまだ生きている」のである。
エアリスが死なないと何が問題なのか?
無能な中堅社員が誕生する
私は、万全の状態でエアリスの死を迎えられるように準備を整えてきた。具体的には、いつ戦線離脱してもいいように、彼女には重要なポジションを与えず、十分な物資も支給せず、「名ばかりパーティー」として10時間一緒に旅をしてきたのだ。まるで、女性の社会進出を阻むような行為をゲーム内で無意識にしてしまっていたことに多少胸を痛めているが、そんなことは関係ない。だって、疑いの余地もない一般常識として「エアリスは死ぬ」はずなのだから。(そこに性差は関係なく、仕事のピーク期になんの引継ぎもせずに辞める前提の社員がいたら、延々と窓際でデータの打ち込みでもしていただくのも仕方のない話である。それを解決する術は私とクラウド率いるテロリスト集団には、残念ながらまだない。)*1
早期から(業務の重要性はともかく)パーティに貢献してきたエアリスは、高給取り無能中堅社員として、自身の地位確立のために後進の芽を摘み始めるに違いない。ユフィやケット・シーが伸びやかに成長していくためにも、彼女には死んでもらわなければならないのである。
自分の信じてきた常識が崩壊する
私は物心がついた時から、「エアリスは死ぬ」ことは自明の理と信じて生きてきた。万が一この情報がデマであったとするならば、私は今後何を信じて生きていけばよいのかわからなくなってしまう。以下は一例であるが、このような噂の真偽を確かめないと何も気が済まなくなってしまうだろう。
・ボタンを連打すると捕獲成功率UP(ポケモン)
・ジューダスの正体はリオン(テイルズ)
・ゲームボーイが電池切れになっても電池を温めれば少し復活する
・高橋名人死亡説
シュレディンガーのエアリス。量子力学的にエアリス(生)とエアリス(死)が同時に存在しているなんて言われても納得いかない。納得のいかない馬鹿げた話ではあるが、まだ私は「エアリスの死」を認識していないので、エアリス(生)の存在を全く否定することはできない。
ーーーーーーーーーーーこんなことに気を取られていたらテレワークもままならない。
私の世界、私の信じてきた世界の安寧のためにも、彼女には死んでいただきたいのだ。エアリスには何の恨みもないが、私にも家族がいる。私の勝手な願いであることは理解しているが、それでも彼女に生存してもらっては困るのである。
さて、そんなことを考えているうちに、エアリスが「私も一緒に行く!」などと言い出した。今まで自ら積極的に戦闘メンバーへの加入を望んでこなかった窓際社員5年目の彼女が、である。私は喜んで許諾した。しかし彼女は気づいていないのであろう、彼女には何の装備もマテリアも支給していないことに。オーナーである私から、業務外での事故死を望まれていることに。(労災認定されたら大変なので)
ここを耐えきればエアリスの勝ち。そうでなければ私の勝ち。命を賭した最後の戦いが、いま始まる。