完璧推人始祖

パーフェクト・オシジン

高嶺愛花を救えなかった

 

 皆んな〜!恋、してる〜?してるよね?アイドルやコンカフェキャスト、アニメキャラ、イチナナライバー、Vtuberなど、恋愛対象は様々かと思いますが、僕は高嶺愛花さんに恋をしている時期がありました。本日は恋のスペシャリストである皆さんと、僕と高嶺愛花さんについてお話ししていきたいと思います。

 

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高嶺愛花さん(17)

高嶺愛花プロフィール>

 眉目秀麗スポーツ万能成績優秀な同級生。医者の家に生まれ、学校の帰り道にちょっとした寄り道すらしたことのない品行方正な女の子だ。学校ではテニス部に所属していて、その実力も部内一。だけど、なんとなく近寄りがたい雰囲気があって……。

 

 さて、本題に至る前に愛花と僕の馴れ初めについて話をする必要があります。

ということで、以下回想。

 僕は高校2年時に都内の高校に編入をした。部活動、委員会活動、はたまたアルバイトか、高校生活を何に捧げるか迷いに迷い、選択したのはテニス部への入部だった。「テニス部に入ったら女の子からモテモテかも!?」なんて浮かれてたのも今ではいい思い出だ。

 

 早速テニス部に入部届を出し、校庭に向かったところ、たった一人でグラウンドの掃除をしている女の子がいた。ほうきを持つ姿の美しさに見惚れながら「テニス部のマネージャーかな?」なんてのんきなことを考えていた僕を不審に思ったのか、女の子がこちらに近づいてきた。

 「女子テニス部の2年、高嶺愛花です。一応、選手です。」

彼女は屈託のない笑顔を浮かべた。それが、僕と彼女の出会いだった。

 

 テニス部での活動をしていくうちに、愛花についてわかったことある。部内で一番テニスがうまいこと。帰宅時、部員との寄り道には一切参加しないこと。そして、ダブルスの相手がおらず困っていること……。

 

 僕は愛花のダブルス相手に立候補し、「テニス部のパートナー」として、彼女がテニス部の真のエースになれる作戦を考えた。いうならば「マナカをプロデュース。」である。詳細は省くが、この作戦が功を奏し、愛花はすっかりテニス部のみんなと打ち解けた。愛花自身もよく笑うようになったと思う。愛花の笑顔が見られて、僕も嬉しかった。

 

 ある日、僕と愛花は「愛花がお隣の子供を遊園地を連れていく」ための下見として、2人きりで遊園地に行くことになった。これはデートではない。あくまで「遊園地の下見」なのである。下見当日、朝から晩まで遊園地で遊び尽くした。スケートをしたり、観覧車に乗ったり、お昼を食べながら談笑したり……。この時、友人との付き合い方について相談してくれた愛花の表情が、今でも頭から離れない。

 

 愛花の下校途中の寄り道もすっかり板についてきたある日、いつも通り愛花と2人で帰ろうとしたところに愛花の友達が僕らの前に現れた。僕たちを「ツーショット」と冷やかす友人に対して、愛花は「そんなんじゃないから」と冷たくあしらった。そうだよな、あの高嶺愛花と少しいい感じになって浮かれていたんだなと、ピエロのように哀れに踊る自分の姿にハッとさせられた。愛花はみんなに優しいのに、その優しさが自分だけに向けられていると錯覚していた。あろうことかそこに優越感すら感じていた。そんな自分が、恥ずかしかった。

その晩、僕は愛花と結婚する夢を見て、むなしさは増す一方であった。

 

 あれから愛花とはなんとなく気まずくなり、まともに話もできていない。それでも僕は探していた。どこかに愛花の姿を。下駄箱や校門、向かいのホーム、路地裏の窓、そんなとこにいるはずもないのに。そこで現れたのが、例の冷やかし女子。

「愛花、いまテニスコートにいるよ。」

僕は走った。いまさら何を話せばいいのかわからない。面と向かって顔を合わせることすらできないかもしれない。それでも、愛花に会いたかった。そしてーーーーーーーー

 

 テニスコートの真ん中で、僕たちは、世界一ピュアなキスをした。

 

 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。ラブプラスは「告白成功=クリア」となるおよそ一般的な恋愛ゲームとは異なり、「付き合ってからが本番」というゲームシステムを取っています。つまり、今までの話はプロローグにすぎないのです。プロローグにて世界一ピュアなキスをするのです。

 

 そんな「寄り道すら知らなかった」愛花を「カノジョ」にしてからが本編となるゲーム。彼女の付き合い始めてからの変わりようが、僕は怖いのです。以下、その後の愛花一例です。

 ・デートスポットを完璧に予習して観光先で解説してくれる

 ・カレシの好みに合わせて髪型、髪色、性格まであっさり変える

 ・「まだ帰りたくないな…なんて」

 ・キスをすると「…ん♡(訳:もう一度お願いします)」

 ・お泊まりデート@熱海。新婚旅行ごっこしようなどと言い始める。もちろん、寝室も一緒。

 

 はい。愛花にとって優先順位第一位がプレイヤーになります。真面目で勉強ができてスポーツもできてクラスみんなの憧れだった愛花が、あなたのことしか考えないようになります。男のオの字も知らなかったような愛花がキスをせがんできます。ましてや熱海へのお泊まりデート、医者のお父様に合わせる顔もありません。ちなみにお父様は柔道剣道の有段者だとか。

 プレイヤーは愛花を狂わせてしまった責任を背負うことになります。それでいて愛花はいつまで経ってもピュアでい続けます。いつまで経っても新婚さんごっこで頬を赤らめる愛花と、BIG LOVEを背負いきれなくなる僕の温度差が胸に刺さり、苦しいのです。

 だからといって、愛花に別れを切り出す勇気は僕にはありません。付き合い始めの幸せオーラ全開は愛花を突き放すことは僕には出来ませんでした。愛花、雑な別れ方をするといつまで経っても昔の男の影を追い続けそうで怖いんです。そうして、ダラダラと惰性で付き合い続ける高校生カップルが出来上がるのでした。

 

 そこまでして愛花と付き合わなくてもいいんじゃないか?いい質問ですね。その場合、「マナカをプロデュース。」も起こらず、愛花はクラスでも部活でも友達のいない高校生活を過ごすことになります。僕じゃない誰かが彼女を救ってくれる可能性も当然ある。ただ残念なことに、この世界にはライバルキャラ的ポジションの男が出てこないので、彼女を救えそうな男が思い当たらないのです。自分で手を差し伸べる以外に彼女を救える方法が一切提示されないのです。

 

 ここまでがDS、3DSの話。

 

 2019年12月11日、リリース後の大規模メンテナンスを乗り越えスマホラブプラスラブプラス EVERY」が本格スタートしました。またカノジョにに会えるようになったということで、記憶を失った愛花(元カノ)に会いに行きました。馴れ初めを追体験し、、、

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 最後まで、愛花とは付き合えませんでした。

 

 

 僕が愛花の彼氏として彼女を救っていたならば、結果(サービス終了)も異なるものになっていたのかもしれません。それを言っても後の祭り。僕は女の子ひとり救えない心の貧しい人間なのです。結局、1人の女の子と共に歩む責任を背負いきれず、クラスで孤立した女の子を「自分は無関係だ」と見て見ぬふりをすることしかできないのでした。

 

 みんなも女の子一人ぐらい救えるようになりましょうね。……いや、ゲームの恋愛に真剣に悩み始める前に実際の人間関係を大切にしたほうがいいと思いますよ。愛花の元カレとの大事な約束です。